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ルソーとウソー [アートのことなど]

ルソーをみに、ほんとうに久々に世田谷美術館に行く。「ルソーの見た夢、ルソーに見る夢」にどんな夢がみられるのか、と期待して。ちょうど一年前に、テイト・モダンで、ルソーの絵をいっぱいみたのを懐かしく思い出しながら、用賀駅から紅葉と銀杏をふんで歩いた。

さて、ここでみることができたルソーの絵はわずか15点程度で、あとはボーシャン、ボンポワ、ルイ、ヴィヴァンら素朴派と言われた画家たちの絵、藤田嗣治から三岸好太郎、松本竣介から有元利夫へと続く日本画家への影響(?)を辿っていく。加山又造らの日本画や横尾忠則のパロディ、植田正治らの写真まで、多彩に展開されていくなかには、個性と個性の出会いと呼べるものもあれば、ルソーの浸透、そして意匠の模倣まで、さまざまなヴァリエイションがあった。

ルソーのみた夢、をみにきた人としては、ぼくもちょっとがっかりしたけれど、日本の美術館の企画展ということを考えると、こうして日本美術のある時代を、現代までの視野から再検証していく仕事は大切なものに思えた。ただ、それと絵をみる愉しみとは必ずしも一致しない。研究と鑑賞の溝は、思ったよりも深いようだ。

ルソーの残響や倍音や不協和音をききとりながら、けっこうな数の作品を変奏曲のように歩いてみるのは悪くないが、そうするとどうしても、最初にその夢をみた人の感動、創造力の強度こそがひたすら心に残る。最初に考えた人の勝ち、という時代は、現代のコピーとサンプリングの文化のなかでは老朽化した空虚な神話のようにも言われるが、たしかにあったし、たぶんまだあるのだ。(それにしても、ルソーに見た夢は、たんに夢だったのか。)

仮にこれを(なぜか無理矢理)ゴルトベルク変奏曲になぞらえていうと、アリア、これは短いが素晴らしかった。かならずしも、ルソー屈指の傑作揃い、というわけではないだろうが、主題としては申し分のない簡潔さだ。それから、変奏が続いていく。これはある意味多様だが、躍動やリズムや発想の強度は薄まっている。とくれば、最後にどのようなアリアに回帰するのか、というのが問題なのだが、やはりルソーの他にルソーはなく、ぼくは最初のコーナーに戻って、もういちどルソーをみて、そのまま入り口から出た。

(ちなみに、ぼくが美術館に着いたときには、ご婦人がもぎりのところで、ルソーの絵がちょっとしかないことを不満として申し述べられていたが、係の人は「16点あります」と主張して譲らなかった。そんなやりとりはやりすごして、すばやく会場に入ってしまったので、詳細はわからないけど。確かにサブ・タイトルにも「アンリ・ルソーと素朴派、ルソーに魅せられた日本人美術家たち」とあって、「ボーシャン、ボンボワ、藤田嗣治、岡鹿之助、松本竣介、土田麦僊、有元利夫ほか40作家の競演」と二段書きされている。でも、せっかくきた人に対して、もうちょっと趣旨を噛み砕いたうえで、きちんと説明してもよかったのじゃないか。出品目録の全150点のうちのルソーは23点、そのうちの数点はきょうの東京では展示されていない、つまり、数の上で言ったら一割くらいにしかならないんだから。)




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ブラジリえっ!? [アートのことなど]

いったいなにが起こったんだ・・・・、というくらい愕然とした。画業55年を迎えたアンドレ・ブラジリエの回顧展を観に、最終日、日本橋三越に行って。そこには初期から最近作までが自選で83点集められていたらしいのだが、最初の十数点を過ぎると、そこから先にはほとんど何もなかった。

初期の油彩は、色彩の強さからも簡潔な美観と粋を感じさせる構図からも、この画家の優れた資質を謳い上げていたが、そこを過ぎると、もうエネルギーも何もない抜け殻のような画面が並べられているばかりだった。年代的にいうと、ここで観た絵によれば、1970年代半ばくらいで、絵の力は尽きてしまうのだが、いったいこれはどうしたことか。もちろん、これ以外には良い作品があるのかも知れないが、もし作家自選という言葉を信じるなら、これは本人が辿った変化だということになる。年譜によると、それは東山魁夷の作品に触れた頃に符合するのだが、間違った親日がブラジリエの眩い芸風を薄めたとしたらなんとも嘆かわしいことだと思った。

美術史的にはどういう理解がなされるのか、僕はまったく感知しないけれど、創作力の衰えとともに、パステル調を含む蛍光色的の明るい色彩を目立たせたイラストが一気に増えてくる。初期の眩い光彩とはまったく異なる、インテリアふうの装飾性に希釈された1980年代以降の作品群を、僕はあっけにとられながら、壁紙のようにほぼ素通りした。

でも、これはブラジリエほど極端ではないにしても、多くの表現者に、あるいはほとんどの人生に、あてはまることなのかも知れない。僕は僕の、あなたはあなたのくり返しにほんとうに耐えて生きられるのだろうか。職業というのは得てして悲しいものだ。それを超えていくのは、いつも真の創造力である、と芸術は残酷に物語っている。


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旅の続きの散歩の続き [アートのことなど]

Tシャツを買うときに少し話していたら、lammfrommのスタッフの方が、「青森県立美術館といえば、すぐそこに菊地敦己さんのブルーマークがやっているカフェがありますよ」と教えてくれた。ここのひとは、いつもとても親切だ。それで、さっそく探しにいったら、いままでなんども通って、そのたびになんども入らないまま通りすぎたスペースのことだった。ガラス張りで真っ白な室内がぜんぶ見えちゃっているのと、表に「←インコ」としか書いていないから、カフェらしいのは確かだけれど、なにがいくらで食べられるのかまったくわからなくて、ちょっと躊躇するわけなのだった。しかし、きょうはふたりだし、怖くないぞ、と思ってお邪魔して、ハッシュドビーフとコロッケとスパイシーミルクティー(コールド)でご飯をしたらおいしかった。それで、内装は青木淳氏が青森の縁で手がけたというのだが、みたまんまそんな感じだった。この上に事務所を構えているという菊地敦己氏は美術館のVI(visual identity)を手がけていて、これはとても感じがよくも強く印象的だったし、他にもいろいろ、矢野顕子さんの"PRESTO"などもやったりしている人だ。1974年生まれだからずいぶん若いと知って少しだけ驚いた。それで、カフェにはここで彼らが出している本やその他の書籍が何冊か置いてあったので、"JUN AOKI COMPLETE WORKS I"と、青森県立美術館のプロジェクトを収めた"同 Ⅱ"を眺めて、以前彼の事務所にいた旧知の高橋堅さんの設計した仕事(BとかUとかZ)の図版などをよくよく眺めて過ごした。それから、しばらく他を眺めていたら、とても美しい本にめぐりあった。それは、フィンランドのフォトグラファー、Janne Lehtinenの"Sacred Bird"という連作集で、ぼくは初めてみる作家の写真だった。美しく静かな自然の風景のなかを、木などでつくった羽をもって人力で飛ぼうとしている人のセルフ・ポートレイトのシリーズなのだが、それはねらいそのままに美しい神話のようなストーリーを羽ばたかせていた。おかしさも悲しさもすべて、むかしもいまもすべて、鳥のように飛ぶ夢のなかに立ちずさんでいる。そんな気がした。

aboutsacredbird→
http://www.hatjecantz.de/controller.php?cmd=detail&titzif=00001681

Sacred Bird

Sacred Bird

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: Hatje Cantz Pub
  • 発売日: 2006/02/15
  • メディア: ハードカバー


青木淳 JUN AOKI COMPLETE WORKS〈2〉青森県立美術館

青木淳 JUN AOKI COMPLETE WORKS〈2〉青森県立美術館

  • 作者: 鈴木 理策, 青木 淳, 中山 英之, 椹木 野衣
  • 出版社/メーカー: INAX出版
  • 発売日: 2006/07
  • メディア: 大型本


青木淳 JUN AOKI COMPLETE WORKS|1| 1991-2004

青木淳 JUN AOKI COMPLETE WORKS|1| 1991-2004

  • 作者: 青木 淳, モーセン ムスタファヴィ, 保坂 健二朗
  • 出版社/メーカー: INAX出版
  • 発売日: 2004/10
  • メディア: 単行本


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Learn to Draw, instructed by John Lurie  [アートのことなど]

John Lurieの音楽が好きな人の多くは、きっと彼の絵も好きだと思うけれど、それは誰にでもおすすめできるものではない。新しい音楽のニュースはしばらくないけれど、画家としての仕事はここ数年ずいぶんと広がっているようだ。音楽の"strange but beautiful"は受け容れられるのに、絵だとそうではないのはなぜか、ということと、あるいはその逆のことを思うひともいるだろうから、その違いを明確にすることは困難だ。僕はジョン・ルーリーの音楽はかなり全部好きだと思うけれど、彼のアートはとても好きなものと、面白いけれどずっと眺めていたい気分にはならないものとが混ざっている。俳句みたいな(川柳みたいな?)風流を感じるし、素朴なところと妙なところが実にいいと思うんだけど。ある種、禁断の楽園という雰囲気でもある。

僕がジョン・ルーリーのアート関連で持っているのは、Lounge Lizardsの"No Pain for Cakes"のCDジャケットが最初で、ここで初めて彼が絵を描くことを知り、それから"Live in Berlin"のジャケットがあった。そして、いまのところずっと最新作である"QUEEN OF ALL EARS"のジャケット、来日公演のときに買った同一デザインTシャツ、たったこれだけでぜんぶだが、最後のものは特に気に入っている。ネイティヴ・アメリカンぽいところと、セクシャルなギャグ・センスが冴えているのと、タイトルが愉快なのと、色がとても綺麗なので。

それで、"Learn to Draw"という画集が去年の冬に出るというので、amazonで予約していたつもりだったのだが、しばらくカートのなかにしまったままレジに行き忘れ、そうこうするうちに売り切れてしまって口惜しい思いをしていた。そうしたら、今度は逃さずに予約しておいたソフト・カヴァー版が先週届いて、ただいまご機嫌なのである。カヴァー以外(ハードカヴァーのときは確かすべて黒のライン)はすべて線画なのが、少し残念だけど、タイトルからして当然でもあるだろう。それで、さっきなんかいいタイトルだな、と思ってずっと気になっていたことに、もうひとつ理由があることがわかって、これなんとなく"Down by Law"に語呂が似ているんだな。いや、実に何となく、なんだけど。ちなみに今回のは"VOLUME ONE"らしいので、「続く」に期待も大きい。(ちょっと高いので、ある意味お好きな方向き。ちなみに、オフィシャル・サイトでは、プリントも販売しているので、さらにお好きな方、は購入したら教えてください。ちなみに僕は水牛のか鳥のだったらと思いつつも、別の絵が出るのを待機中。)

http://www.johnlurieart.com/art/

John Lurie: Learn to Draw

John Lurie: Learn to Draw

  • 作者: John Lurie
  • 出版社/メーカー: Verlag Der Buchhandlung Walther Konig
  • 発売日: 2006/07/01
  • メディア: ペーパーバック


No Pain for Cakes

No Pain for Cakes

  • アーティスト: The Lounge Lizards
  • 出版社/メーカー: Polygram
  • 発売日: 1991/08/20
  • メディア: CD


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アレクサンダー・ゲルマンのデザイン [アートのことなど]

<アレクサンダー・ゲルマン展:ニューヨークコネクション>(28日まで)を観に、ギンザ・グラフィック・ギャラリーに行った。ニューヨーク、ロンドン東京を拠点に、ここ20年活躍するゲルマンの初の大規模なレトロスペクティヴだという。「elemental visual narratives」と題された初公開の映像を始め、新作や進行中のプロジェクトも紹介されていて、集大成というよりもむしろゲルマン・プログレッシヴといった感じだ。24日のギャラリー・トークも併せて聞いた。http://www.dnp.co.jp/gallery/ggg/index.html

サブトラクション(引き算)とコンプレッション(圧縮)と呼ぶ手法を用いて、ぎりぎりまで要素をそぎ落としていくというゲルマンのデザインは、僕たちの認識を極限まで問い詰めていく。つまり、なにがイメージやコードを成立させているのか、その要素を解体し、削ぎ落としていくことで、ミニマムに記号として成立する極点までデザインを切り詰める。意味や形象が認知される境界線上に、ゲルマンは彼のデザイン語法を置く。彼のデザインを成立させるための、広告的な認知コードは、それをみる僕たち受像者のほうにある。そのイメージの演算を経たプロダクトに、何を認めるか、どのような広告的メッセージを受けとるか、そこにゲルマンの強硬なコミュニケーションの回路が拓かれる。そして、切り詰められたイメージは、他のイメージへの置換、変容をたやすくする。そうして、スマートなイメージの転換や連鎖がまたべつのシークエンスを創り出す。ちなみに、彼のカンパニーは、デザイン・マシーンというが、それもまたテクニカルに切り詰められたタームだ。

というようなことを初見によって説明しようと試みても、いっこうに鮮明には伝えられないので、どこかでゲルマンをみつけてください。デザインは明滅するコードの冒険だ、ということを僕はこの度ゲルマンをみて学んだ。また、この展覧会では、特に映像作品のインパクトが素晴らしく、その強度とエレガンスに打たれた。elemental visual narrativesというその言葉自体がアートだと思う。

それから、さっき言ったようなことも含めて、僕の想像のなかでは、ゲルマンの祖先のひとりはディック・ブルーナである。うさぎがうさぎである極点までのシンプル化。そして、ゲルマンのグラフィック・デザインのいくつかは、視覚的な意味でも、ブルーナの抽象と洗練に繋がっている。先鋭さとオリジナリティとともに、ときにはそうした触感的な柔和さをもっていることも、ゲルマン(glmn)のデザインのウィットな魅力だろう。

http://www.designmachine.net/

アレクサンダー・ゲルマン

アレクサンダー・ゲルマン

  • 作者: アレクサンダー・ゲルマン
  • 出版社/メーカー: ギンザグラフィックギャラリー
  • 発売日: 2006/08
  • メディア: 単行本


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ヨロヨロン、のち、A to Z サロン。原美術館にて夏休み。 [アートのことなど]

Yoshitomo Nara + graf A to Z プロジェクトは弘前で大々的に展開中で、オープンから3週間で早くも2万人の入場者を獲得したという。近いうち僕も訪れたいと切望しているけれど、まだしばらくは時間がとれないので、そのぶん期待を高めておこうと、A to Zサロン@原美術館をのんびりと楽しんできた。http://a-to-z.heteml.jp/modules/news/

晴れたら出る、という立ち見の当日券を求めて早めに行き、その前に束芋の「ヨロヨロン」を観ようと思ったらかなりの人出だったので、平面だけみて、行列のできた映像インスタレーションはちょっとだけ覗くにとどめた。束芋のデッサンをみていたら、ダ・ヴィンチやらが描いた解剖や虫のデッサンを現代の日本でみたらこんなかな、とか、なんも知らずに勝手な感想をもった。それで、はらぺこになったので、フランクリンアヴェニューまで猫と散歩してハンバーガーを食べて、虫除けスプレーをたっぷりかけて、夕方にもういちど原美術館に戻って、奈良美智の常設インスタレーション「My Drawing Room」をさっとみて、それからしばらく中庭の塀に座って、二人がやってくるのをいそいそと待った。

奈良美智&graf 豊嶋秀樹のトークは、彼らのプロジェクトがひとつひとつ繋がって、今回の弘前にたどりついて、集大成と言ってみたけど取りかかったらそこからまた新しいことが始まっていく、なんてことを話していた。友だちとバンドを作って夢を話すみたいに話してきたことがいくつも繋がってきた、と奈良さんは言った。一歩出るとその分だけ新しい世界が拓ける。それでまた一歩歩けば、また新しい視界がある。そうして、目の前のことを一歩一歩やってきたら、いつのまにかそれが大きな一歩になっていた、というふうに。初めて奈良美智さんご本人をみたけれど、この人はたとえば一日で一億くらい稼ぐようになってもぜんぜんこのまま変わらない人なんだろうなあ、とふつうに頼もしく思えた。それがロックじゃん、って改めて思って、なんだかすごい嬉しかった。

そんなふだんみたいなトークに続いて、制作風景のスライドを二人の話を交えながら観て、それからこんど公開される映画の素をショートフィルムふうにいくつも眺めた。「大したものじゃないけど」と言いながら最後に披露されたのは、奈良さんの写真をスライドショーにまとめた映像だったけれど、これがとても良かったので、僕はがまんしていた写真集もついに買ってしまった。弘前のあとも、金沢、ベルリン、デン・ハーグ、バレンシア・・・・いろんなところで展覧会をやるらしいけれど、どこに行ってもロックとピースをかましてくれろ、と思って。サロンといってもお部屋ではなく美術館の中庭でやったから、だんだん夜になっていくなか、彼らの話す声や笑い声といっしょに、セミの声とか電車の音とか飛行機とか、いろいろ聞こえてきて、それがなんか楽しかった。時代的に僕らは知らないけれど、夏休みに活動写真がやってきた、という感じなんだろうな、と思いながら、いい日曜日を過ごした。で、明日からは、はらぺこファイターでとばすんだぜ。



the good,the bad,the average…and unique―奈良美智写真集

the good,the bad,the average…and unique―奈良美智写真集

  • 作者: 奈良 美智
  • 出版社/メーカー: リトルモア
  • 発売日: 2003/12
  • メディア: 単行本



This is a time of... S.M.L. yoshitomo nara + “graf ”

This is a time of... S.M.L. yoshitomo nara + “graf ”

  • 作者: 奈良 美智
  • 出版社/メーカー: 青幻舎
  • 発売日: 2004/05/01
  • メディア: 単行本


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ありがとうの言いかた [アートのことなど]

いろいろな方法がある。何も言わずに立ち去るとか、あとで返事の手紙を出すとか。
ロバートフランクのこの小さな本は、いろいろな人が折々にくれたポストカードや手紙をまとめたもので、ケルアックやギンズバーグやオルロフスキー、息子のパブロといった人々を含めて、たくさんの人たちの筆跡と思いが詰まっている。日本人もけっこういる。
ぱらぱらと眺めていると、そうした人々のばらばらでパーソナルな想いが、ひとつの映画のように繋がっているように思えてくる。
ロバート・フランクは、たくさんの人たちが自分のやっていることを評価してくれたことに感動して、これらのカードを長年保管していたという。何ら見返りを求めることのない、いくつもの純粋な気持ちがここに通っている。
そんな私信をあつめて、彼は静かに「サンキュー」と言う。素敵なやりかただと思う。
この10年ほど、何気なくページをめくって、僕もそのたびに聞こえない声で同じことを呟いている。

(Robert Frank - Thank You, Scalo 1996)

Thank You

Thank You

  • 作者: Robert Frank
  • 出版社/メーカー: Distributed Art Pub Inc (Dap)
  • 発売日: 1996/11
  • メディア: ペーパーバック


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