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オリヲン座から [映画のこと]

20周年を迎えた東京国際映画祭で
「オリヲン座からの招待状」(三枝健起監督 2007)を観た。

主演の宮沢りえが素晴らしかった。以上。

以上なのだが、おそらくそれだけでもいいのではないかとさえ思えた。
それだけで、音楽の使いかたも含めた映画のまずさになんとか耐えられるほどだ。

(2007年10月25日、オーチャードホール)


宝町再訪 ・・・「鉄コン筋クリート」のこと [映画のこと]

ほぼ13年ぶりに宝町を再訪した。それは横浜の下町のようでもやっぱり下北沢のようでもあり、しかしたとえば銀座の映画館のなかにあった。白黒の絵でみていたタカラチョウは、繊細なカラーで胎動するタカラマチとして、ぼくらを素晴らしい速さで包みこんだ。手書きの線や絵を動かすための、CG技術が際だった美しさで、街を生きものとして色めかせていた。そうすると、シロとクロの世界よりも、もっとやわらかな生命感が孕まれて、ぼくらはたとえば、ネズミとか、沢田とか木村とか、シロとクロの間にある、ネズミ色の、いやそれよりももっと中間の明暗を揺れる人物へのまなざしを、より深い愛着をもって眺めるようになる。『鉄コン筋クリート』を、闇と光、暴力と無垢の相克の物語とみて、そこから先ぼくらは灰色の世界へ向かうのだ、と思いこんでいた13年前のぼくはやはり若かったのだ。そうして、世界はグレーのネズミ色に暮れていくのではなくて、色彩の生命をとり戻してもよかった。原作のコミックに引き込まれたていた当時、ぼくはそこに描かれた死後の世界のような純粋無垢の海が、こんなに青いとは想像もできなかった。かつてはきっと白と黒の強度にとらわればかりいたのだろう、マイケル・アリアス監督の映像に包まれる至福のなかで、ぼくはそこがほんとうにまばゆく輝いていることを実感した。コミックにまとめられた物語のほぼすべてが、映画のなかにも活かされていて、だからたくさんのセリフはどれも懐かしいものだった。こんなにはっきりと覚えているのだから、松本大洋はやはり素晴らしい劇作家でもある。原作の終盤のクロの内面的葛藤が文学的であるのに対し、凝縮された映像の揺らぎで表現されていること、沢田とクロの相似や、クロの絶望的な孤独が十分には表わされてはいないこと、などなど、少し趣がちがうところももちろんあるが、しかしこれはまったくもって夢のような映像化だ。マイケル・アリアス監督は、ぼくが読んでいたころから、ずっとこの企画を構想していたというが、この映画はそうした愛と情熱の素晴らしい結実だし、その間にグラフィックの技術も革命的に成熟してきたのだから、時機を得てようやく誕生した映画だとも言える。なにより、この映画が、原作とその世界への、心ある人々の熱い愛の結合であることが嬉しい。だから、この宝町は、かつて読者として訪れていたぼくらみんなの風景であることができた。いくつものシーンを反芻しながら、しばらくおいて、眠る前に一冊ずつ全3巻を読みかえしたけれど、ぼくのなかにあの日出現した宝町(タカラチョウ)は、いまも昔も、決して色褪せることなくそこにあった。移ろいのある美しい色彩で彩られた宝町(タカラマチ)は、物語のなかでは時代の変化のなかで朽ちていくけれど、やはり夢のようにぼくの脳裏に響き続ける。そして当時、原作を読んだ後にどこか辛く苦い感情を抱いていたはずのぼくが、今回映画を観終えて感じたのは圧倒的な肯定の思いだった。この映画に関わったすべてのスタッフへの感謝が、見知らぬままに溢れてきた。声優陣の声も体温をもって、しっくりと耳にはりついている。 また、ぼくは映画観に行くだろうし、DVD化されたらまっさきに手に入れて、すり切れることのない物語をぼくもまたすり切れることなく、くり返し訪れるに違いない。クロやシロは13年間、クロとシロのままだったし、これからも世界中でクロとシロのまま生き続けるだろう。原作をしめくくったのは、「ココカラ ミンナガ ミエルヨ。」という黒地に白抜き文字の言葉だった。人生のどこかで、このコミックを愛してきた人たちは、いまどこでなにをみて、なにを企んでいるのか。そうして、物語の続きは、いつもぼくらの手と足にかかっている。「ソコカラナニガミエル?」 
(2007.1.20@丸の内TOEI2)
http://tekkon.net/index.html


鉄コン筋クリート (1)

鉄コン筋クリート (1)

  • 作者: 松本 大洋
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1994/03
  • メディア: コミック


鉄コン筋クリート (2)

鉄コン筋クリート (2)

  • 作者: 松本 大洋
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1994/05
  • メディア: コミック


鉄コン筋クリート (3)

鉄コン筋クリート (3)

  • 作者: 松本 大洋
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1994/07
  • メディア: コミック

(ここから下は、まだもっていないけれど、たぶんそれも時間の問題だろう。)

鉄コン筋クリート ジ・アニメーション シロ・クロ

鉄コン筋クリート ジ・アニメーション シロ・クロ

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2006/12
  • メディア: コミック


鉄コン筋クリート ART BOOK クロside 基礎工事編

鉄コン筋クリート ART BOOK クロside 基礎工事編

  • 作者: 木村 真二
  • 出版社/メーカー: 飛鳥新社
  • 発売日: 2006/12/28
  • メディア: 大型本


鉄コン筋クリート ART BOOK シロside 建築現場編

鉄コン筋クリート ART BOOK シロside 建築現場編

  • 作者: 木村 真二
  • 出版社/メーカー: 飛鳥新社
  • 発売日: 2006/12/28
  • メディア: 大型本


人が才能を受けいれるまで ~映画『神童』を観て [映画のこと]

山尾敦史さんのお誘いで、映画『神童』の完成披露試写をみることができた。萩生田宏治監督の作品は、前作『帰郷』をみたとき、清らかな心性に打たれて、だからとても楽しみにしていた。

この映画は人を泣かせずに、それ以上のことを受けとめさせる。それが、僕は好きだ。真率で、しかもつねに適切な距離感をもったまなざしが通っていて、それぞれのシーンに澄んだ響きがある。浸透するような距離や、坦々として滲んでくるような温かさが、きちんと適切に保たれている。

言葉や映像でいろいろと説明しすぎないのがいい。そのぎりぎりのところがきっと難しいのだろうけれど、易しく伝えることと静かに響いていくことの間のバランスをきれいにとっている、と思った。

音楽は言葉の終わったところから始まる、とか、音楽には言葉を超えた想いがある、というふうなことを、いろいろな人が口にする。この映画も言葉にならないことを、映像の想いとして、しかもそれで説明しすぎずに、僕たちにとどける。そうすることでしか決して伝えられないことが、ここにはあるからで、そうした繊細さは音楽や人の心にひたすら耳を澄ますことでしか得られない。

言葉では伝えられないことや、言葉にはならないこと、それを人の表情や音楽にのせて、人と人の思いを繋ぐ。言葉にはならないことを、言葉で伝えたい、と思い続けている僕にとっては、この映画の清らかな余韻が嬉しかった。

ストーリーは、うんと短く言うと、人が自分の才能を受けいれていくまでの物語だ。なにかがほんとうに始まるには、必要なだけの時間と出会いがいる。そのさきには、信じられる未来があるだろう。

主演のふたり、成海瑠子、松山ケンイチは、微妙な年齢の輝きを相応しく抽き出して素晴らしかった。調律師役の甲本雅裕もよかったし、少女のクラスメート役の岡田慶太も、亡き父をやった西島秀俊も、リヒテンシュタイン(!)という名の巨匠ピアニストを演じたモーガン・フィッシャーも見事だった。

映画のなかでの、クラシック音楽の選曲もとても率直で好感がもてたし、まっすぐとスクリーンのこちら側にもとどくだろう。モーツァルトのニ短調のピアノ協奏曲K.466のシーンは、とくに感情の純度が高かった。それだけに、エンドロールに流れる主題歌は、好きなミトと原田郁子によるものであるにも関わらず、僕には違和感が残った。たぶんそれは歌詞のせいだろう。言葉にしないほうがよかった。

映画について詳しくは→ http://www.shindo-movie.jp/

(『神童』の公開は春らしいので、そのまえにもう一度『帰郷』を。)

帰郷 特別篇

帰郷 特別篇

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • 発売日: 2005/12/22
  • メディア: DVD

P.S. 帰ってきてTVを観たら、松山ケンイチがベースを弾いていた。笑顔が上手だった。
しかし、この映画、『NANA』、はかなりきびしかったな。
となりの番組では別の金髪の人がヴァイオリンを弾いていた。
その仲間役の人のピアノの弾き真似はかなり上手だ。


ベルリンのジョン・ルーリー [映画のこと]

ジャームッシュのことがふと気になったのは、ラウンジ・リザーズをこのところくり返し聴いていたからで、DVDが届くのを待つ気分のなか、昼間から部屋を暗くして『ジョン・ルーリー&ザ・ラウンジ・リザーズ・ライヴ・イン・ベルリン1991』のヴィデオを観た。以前にレイト・ショーで劇場公開されたときにも観たし、この近辺では1994年に池袋のアムラックス・ホールでのライヴパフォーマンスも堪能したのだから、なんだか懐かしいはずなのだが、すべて昨日のことのようでもある。ベルリンの壁の崩壊した後のベルリンの夜は熱く、陶酔的だ。しかし、カルチェ・ラタンの空気のなかのなにかはまだ固く、ジョン・ルーリーのスタイリッシュにとぼけたMCへの反応も意外にさりげないものである。カルヴィン・ウェストンのドラム・ソロ「CALVIN」に続く「BIG HEART」がライヴのひとつのピークで、これは3年後の東京公演でも同様だったと思う。1986年のライヴ・イン・トーキョーのアルバムでも、僕はこの曲をくり返し聴いて揺れている。クラクションを吹かしながらトラフィック・ジャムを颯爽と切りぬけていく窃盗団みたいな彼らのプレイは、聴くたびにいつも僕のなかをにわかに沸騰させる。


ライヴ・イン・ベルリン(1)

ライヴ・イン・ベルリン(1)

  • アーティスト: ジェイン・スカルパントニ, ジョン・ルーリー, スティーヴン・バーンスタイン, ビリー・マーチン, ブライアン・キャロット, マイケル・ブレイク, ミシェル・ナヴァーチオ, ジョン・ルーリー&ザ・ラウンジ・リザーズ, G.カルヴィン・ウエストン, オーレン・ブローダウ, ザ・ラウンジ・リザーズ
  • 出版社/メーカー: ビデオアーツ・ミュージック
  • 発売日: 1998/10/21
  • メディア: CD


ライヴ・イン・ベルリン(2)

ライヴ・イン・ベルリン(2)

  • アーティスト: ジェイン・スカルパントニ, ジョン・ルーリー, スティーヴン・バーンスタイン, ビリー・マーチン, ブライアン・キャロット, マイケル・ブレイク, ミシェル・ナヴァーチオ, ジョン・ルーリー&ザ・ラウンジ・リザーズ, G.カルヴィン・ウエストン, オーレン・ブローダウ, ザ・ラウンジ・リザーズ
  • 出版社/メーカー: ビデオアーツ・ミュージック
  • 発売日: 1998/10/21
  • メディア: CD


ビッグ・ハート(ライブ・イン・東京)

ビッグ・ハート(ライブ・イン・東京)

  • アーティスト: ラウンジ・リザーズ
  • 出版社/メーカー: アブソードミュージックジャパン
  • 発売日: 2004/01/21
  • メディア: CD



ジャームッシュのこと [映画のこと]

もしもの話、いわゆる思春期に「パーマネント・ヴァケーション」と「ストレンジャー・ザン・パラダイス」を観なかったら、ぼくのコミュニケーションに対する感性はだいぶ違ったことになっていたのではないかと思うのです。それはかっこつけの思いこみかも知れないし、そうでないかも知れない。いずれにしても、それ以来ジャームッシュは観逃した最近二作を除いて、すべて映画館で観てきました。「ストレンジャー・・・」は何度も再上演されてきたので劇場でも5回は観たな。ユーモアとかビターの味とか、人生とか運命とか、そういう風合いには依然として惹かれつつも、やっぱりぼくにとっては、この2作と「ダウン・バイ・ロー」と「デッド・マン」と「イヤー・オブ・ザ・ホース」が大切な作品であり、どうしても絞れと言われたら、やはり最初の2作と「デッド・マン」を携えていきます。その、最初の"休暇"と、最新作の"花花"がDVD化される模様。この際、最初からすべて観直してみようと思います。ちなみに、「ダウン・バイ・ロー」も別メーカーを機にコレクターズエディション化して出るようで、同じ日にはトム・ウェイツの最新大作の国内盤もリリースされます。ぼく的にはなんか、いい感じになってきました。



ブロークンフラワーズ

ブロークンフラワーズ

  • 出版社/メーカー: レントラックジャパン
  • 発売日: 2006/11/24
  • メディア: DVD


ダウン・バイ・ロー コレクターズ・エディション

ダウン・バイ・ロー コレクターズ・エディション

  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 2006/11/22
  • メディア: DVD


オーファンズ

オーファンズ

  • アーティスト: トム・ウェイツ
  • 出版社/メーカー: ソニーミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2006/11/22
  • メディア: CD


楽聖ショパン [映画のこと]

楽聖といえばベートーヴェンでしょう。それがなんでショパンじゃ。音楽の父がバッハで、交響曲の父がハイドンで、歌曲王がシューベルトで・・・・って、僕が小中学校のときに刷りこまれて、下手したらテストにまで出たりした気がするけれど、めちゃくちゃだよね。たぶん文部省かなんかにイカしたコピーライターがいたのじゃろう。ふっ。で、楽聖の話だけど、ベートーヴェンって、あの小銭を失くして騒いでいた男が聖人かよ。などという言いがかりはやめてですね、観たのですよ、『楽聖ショパン』って映画を。知人から回ってきたDVDで。ワルシャワもパリもみんな英語で話しているとかそんなことはどうでもよいくらいに、話じたいもどうでもよくて、でもこれはマンガ的にはわかっていてもページをめくってしまうタイプの作品だ。大真面目で、それが滑稽で、滑稽にみせているのが生真面目に感じられて、だからこれはけっこうまともな作品で、ということはぜんぶがシリアスでぜんぶがギャグで、で1944年にこれがアメリカで公開されているという事実を思うとなんかすごいことな気がする。芸術か祖国の運命か、という葛藤を抱いた末、ショパンは身を挺して送金のための演奏旅行に倒れるわけです。曲はものすごいずさんなやりかたで編集され、かなり適当なオーケストレーションをされたりしていておかしい。リストがスーパーいい奴で、サンドがなんか悲しきウーマンズ・リブで、カルクブレンナーとかプレイエルがど素人で、などなどキャラクターの割り切られた単純さが無茶で痛々しいけど、才能を多くの人々のために還元すべきだ、というショパンの先生役の主張はけっこう訴えかけるものをもつ。大林宣彦監督が多感な少年時代に多大な影響を受けたというエルンスト・マリシュカ原作の伝記映画『別れの曲』を脚色したもので、「A Song to Remember」というのが原題のチャールズ・ヴィダー監督作品。もとの伝記映画も観ていないし、この映画も話には聞いていたものの唐突にめぐってきて観たので、不意打ちをくらったというのか、かなーり臭った。ディテールのひとつひとつがいちいちベタですごい。何年経っても忘れないかも。困ったな。


そして、これからみる映画など [映画のこと]

そして、まとめてDVDをみたりもするのだ。うしし。

トニー滝谷 プレミアム・エディション

トニー滝谷 プレミアム・エディション


ケイゾク DVDコンプリートBOX

ケイゾク DVDコンプリートBOX

  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 2006/04/26
  • メディア: DVD


時効警察 DVD-BOX

時効警察 DVD-BOX

  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
  • 発売日: 2006/06/23
  • メディア: DVD


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