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ロンドン・コーリング 2/22 [散歩雑録]

20(二重)

動かなければ、なのだが、なんだか動けない。にんべんをつけて、働かなければ、が働けない。困惑と停滞。月末に向かう日々のなかで、きょうは空をみることもなく。前に寄稿した「芸術情報アートエクスプレス」が時差のように届いたために、昨冬のロンドンのことなどぼんやり思い出している。

ロンドンの冬は寒いと聞いていたけれど、気温は東京とたいして変わらないと思った。けれど、日没が早く、すごくダークな感じになるのはやはり独特だった。人々は、激しく落ち込んでいるわけではないけれど、慢性的に疲れた感じだった。とくに地下鉄の灯りのなかでみると、人の顔の彫りが深いからか、やたらゴミが散乱しているからか、もう救いがない感じで、だけどどん詰まりでもない曖昧さのなかにあるような印象が濃厚だった。人々の多くは殺伐として、寒々としている。地下鉄でも、絵に描いたようなパンクスを何人もみかけたのだが、なぜかそこに僕は救いのようなものを感じてしまった。現実は最悪だけど、そのなかでぎりぎりに前向きな意志を、意地のように抱いているのがみえた。なんらか信じられるものが、その無意味に攻撃的な装いと、純粋な思いのなかにある気がした。

多くのひとが逆のことを言うだろうけれど、僕はThe Clashのほうが、The Sex Pistolsよりも圧倒的に好きだ。クラッシュ音楽には、破壊ではなく、構築の意志が充ちている。嫌悪ではなく、疎外でもなく、愛への脆弱な憧憬が根づよく生きている。狂気ではなく、凡庸な真率さを感じる。つまりそれはサヴァイヴへの意志だ。そうして僕は、夜のひとりの散歩、月明かりの下で、確かに彼らの音楽を聴きながら、歩いていたのだ。思いこみの空耳で。気分というのは、愚かしいものだが、僕はその愚かさがけっこう好きだ。

帰国後まもなくして、ハービー・山口さんに会った。なんか人々が元気なかったですよ、と言うと、ああ、ロンドンもだいぶ変わって、俺が知っているロンドンはもうないみたいだね、とハービーさんは語った。いま、あまり行きたいとは思えないな、と。なんだか悲しい話だった。けれども、現実はその悲しみのなかにあって、僕たちはそこから確かなリアルをつかみとらなくてはいけないのだ。たぶん、僕はまたあの街に行くだろう。ハービーさんがいまのロンドンを撮ったら、そこにはやはりあのロンドンが映るに違いない、それもまた確かなことだと僕は思う。

London Calling

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女王陛下のロンドン

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  • 作者: ハービー山口
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2002/05
  • メディア: 文庫


London―After the dream

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  • 作者: ハービー・山口
  • 出版社/メーカー: 流行通信
  • 発売日: 1985/09
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トイレット・メン [散歩雑録]

トイレット・メン
というのはバンド名ではなく、
トイレット・レディーズ
というのはグループ名ではないが、
ともに池袋パルコであなたを待っている。



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