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書きかけの手紙 [go go GODARD]

書きかけの手紙を十年後にみつけて
また書きかけて、また続きがやってこなくて
いつまでも書きあがることがないままに
誰に宛てた手紙だったのかさえ
もうとうにわからなくなってしまって

そういうのは、たぶんぜんぶ
自分に宛てて書いているんだよ
と、誰かは忘れてしまった誰かが言って
だとしたらその自分はどこの自分だろうと
また頭を抱えるふりをして赤信号をやりすごす

面白いのは十年まえの古紙に滲みたインクと
続きにふれようとしたこの新しい滴りが
そんなには違わないということ
ただ風化したぶんだけ鮮やかな記憶を
淡いいまのとりとめのなさに重ねてみる

なにも悪くないし、それほど良くもない
たいして良くもないし、べつに悪くもない

(YNあるいはNYに)


なにかを思い出そうとしている [go go GODARD]

なにかを思い出そうとして、なにも思い出せないとき、
そのなにかのほうは、ぼくを思い出せずにいるのか、忘れているのか。
ぼくが思い出したくても、なにかのほうが思い出さなければ、
ぼくはなにかを思い出すことはないのか、いや、いっぽうてきに、
思い出すことはあるのだろうけど、それでもおたがいが
おたがいを思い出したようには、思い出さないのだろうな、
と思うとすこしさみしい気もするけれど、だいたいいつもそんなもので、
少なくともぼくが思い出せたのなら、それはけっこういいほうなんじゃないか。
と思うのだけれど、はて、なにかのほうがぼくを思い出そうとして、
ぼくがそのときみつからなかったとしたら、そのなにかはいったい
どこで、なにを、あきらめたり、あきらめなかったり、するのだろう。
なにかを思い出そうとしている、なにかが思い出そうとしている、そのとき。


君と世界のあいだで [go go GODARD]

君が世界を傷つける けれど 世界は血を流さない/世界が君を傷つける すると 君は血まみれになる/君と世界が和解する けれど なにごとも起こらない/世界が君を拒絶する すると 君はたちまちいなくなる//世界は君の足下にも頭上にもない し/君は世界の地下にも上空にもい ない//なにもかもが世界と 君ではない誰かのあいだで/取り引きされている 君の知らないところで/世界が君を忘れ去る 君は世界を想い出せない/君は世界を葬ったつもり 世界は君を思い出さない//それは罪だと 君は言う それとも 世界は//360318


絶望は希望の石庭 [go go GODARD]

ドクターは彼女のために部屋を空ける/空っぽのベッドには悲しみの滲みしかない/曇り空が垂れこめて街中が憂鬱/地図にない病院に名前のない患者が集う/どこからか風にならない風が吹き/すべてのほんとうは嘘に転落する//ドクターはまだ彼女のもとから帰らない/いなくなってしまったものをいつまでも/追い求めることが治療なのだとしたら/薬にも毒にもならない言葉をシンクに流し/嘔吐でも嗚咽でもないものを口から出して/すべてを病気のせいにしてしまえば簡単だ//ドクターが失ったのは壊れた彼女ではなく/彼女のなかの彼らの真実のほうだ/それがどうしても受け容れられないので/ドクターはまだ浮かび上がることができない/それは君そして僕あるいは彼そして彼女/すべての言葉が嘘も本当もなく連鎖してしまう//それでもドクターは誰もいない部屋に戻る/方法でも科学でも治せないものばかりを/彼は消毒済の両手に持てあましている/患者を待ち続けているあいだ彼は石になる/誤解も後悔もすべては悩みの淵に沈み/何でもない些細な事柄を彼は絶望と呼ぶ//絶望は希望の石庭/石の花に永遠の真昼/絶望は希望の石庭/忘却に経験の不測/絶望は希望の不在/希望は絶望の子供//360310


悲しみについて [go go GODARD]

悲しみについて/語ることをやめたら/朝日の向こうに/透けてみえる青が/静かに微笑みかける/いくつもの夢とか畏れとか/遙か遠くのできごとが/君や僕のいるこの地上に/数えきれない花を咲かせる//悲しみについて/語ることをやめたら/そもそも僕たちには/とりたてて語ることなど/なにもないのだという顔をして/光が流れていく/そのままに記憶が笑い/僕や君の自由のなかに/真新しい歌を走らせる//悲しみについて/語ることをやめたら/悲しみが僕らを生むのではなく/僕らが悲しみに宿るのではなく/それぞれの出会いと/すれちがいのなかに/それはありそれはなく/僕らはいて僕らはいない//悲しみについて/語ることをやめたら/ほかのことがいくらでも/僕らのもとに流れついて/震える喉もかじかんだ手も/あたたかな雪もなにもかも/知らない国の物語のようにとけて/そこからさきは歌でしか語ることができない/そこからさきは歌でまなざすことしか//そこでようやくにして/悲しみは悲しむことをやめ/僕らは僕らの続きを探す/すべてから自由になる/そんな気分でまた/いくらでも出会ったり/出会わなかったりする/物語も理由も夢も現実もなく/悲しいのか悲しくないのかも//もうわからなくなって//悲しみの花がとけて//微笑みかけるものごとが/そこらじゅうに溢れてみえて


夕方がはやくなる [go go GODARD]

夕方がはやくなる/もう誰も覚えてはいない/薄明のなかで呟かれた言葉を/明け空から黄昏にとかして/何もかも曖昧なまま取り残される/やがて思い立ったように星が巡り/遠くからすべてをほんとうのように愛でる/しかしそれは作り話だから/そのうちすぐに消える/僕はまだあきらめていない


新しい年の手紙 [go go GODARD]

日曜日の真夜中/思い出したように鐘が鳴り響き/新しい年から/誰もまだ読んだことのない/
手紙が君のもとに届く//それは光のように/しばらくは明けない朝の/手をのばせばすぐそこにあるはずの/遙かなもの思いを一直線に//たくさんの人たちの/かぎりなく懐かしい想いを乗せて/列車は夢の銀河の彼方/何もない岸辺にいつまでも寄せる波のように//夜のなかの生命が一息に目覚め/忘れるはずのない朝が踊り出そうとして/幾重にも重なった花びらを解き/青空は永遠から零れ落ちる//そうしてふたたび水が震えるように/何度でも君の耳元にささやき/旅に出るための準備は/とっくに整っていたことに君は気づく//2006年1月1日1時


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