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365日かけて読む一冊の本 [bookend]

さまざまな本を併行して読むので、おおかたは少しずつしか進んで行かない。一気に走り抜けるような物語もあるが、各駅停車が何日も続くことも多い。そのうちに、しばらく空き家になってしまう本もある。

きょう友人が突然送ってくれたのは、ふだんだったら僕が手にとらないような一冊。日めくりのように毎日一言ずつ、ていねいに歩いてくものだ。僕はたぶんまわりくどい性格なので、名言を束で手にするよりは、落ち葉拾いみたいに偶然を集めていくほうがずっと好きなのである。しかし、この本は、ひとつひとつの言葉の空間と時間に、いい感じの余白の空気がある。毎日続くかわからないけれど、飛び飛びでも手にとって楽しいだろう。質感も心地よい。

著者はハワイのオアフ島で暮らす、僕とほぼ同世代の女性で、チェロキー族の血を少し引いているという。ハワイにかぎらず南国は憧れだけの遠い地で、精神的にも北を向いてしまうことが多かった。それには若さの気どりもあったと思う。それはさておき、この本はハワイをこよなく愛する知人が友人を誘って、個人的に復刊に漕ぎつけたらしく、そういう熱意にもどこか心動かされる。だから、ちびちびと頁をめくるのがきっとよいのだと思う。

ためしに、今日のところをめくる。それから、こういうのが僕のしょうもないところだが、じぶんの誕生日の頁をたずねてみる。「音楽は内なるスピリットへの鍵」。とたんに気分がよくなって、そうして僕はいまこの文を綴った。みえないハワイを片手に。


日々是布哇(ひびこれはわい)アロハ・スピリットを伝える言葉

日々是布哇(ひびこれはわい)アロハ・スピリットを伝える言葉

  • 作者: D・F・サンダース
  • 出版社/メーカー: TAO LAB BOOKS
  • 発売日: 2010/06/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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ルウとおじいちゃん [bookend]

その本は夏の終わりにやってきて、だけど、読んだのは春がやってきてからだった。そのあいだ、半年くらい、ずっとぼくの枕元に置いてあった。静かに息をひそめて。ほかの何冊かは読みさしだったりするけど、この本はちゃんと気分がいいときに読みたいからとっておいた。

それで、しめきりもなにもない夜、空気もほどけてきた季節に、ゆっくりとページをめくった。本のなかはまばゆい光がさしているけれど、読んでいるのは読書灯の小さな光のもとだ。それでも、ぼくにはよく知らない、たぶん南仏の穏やかな風景のなかで、ひまわりが揺れているのがみえた。

『ルウとおじいちゃん』は、とても素敵な本だ。もうちょっとだけ説明すると、ルレットとおじいちゃんの話だ。ただそれだけで口をつぐむのはずいぶんかも知れないけれど、やっぱりそれがふさわしい気がする。この本は、説明したり、解説したりするための本ではなくて、ただ、いっしょに呼吸する本。藤本優子の訳文も、そういうふうに息を吸ったり、吐いたりしていて、人間の息の温かさが通っている。どこかで読んだような気もする物語なのだけれど、そう思えたのだとしたら、この物語はきっと伝わったということなのだろう。そうして、ぼくは、たぶん、幸せな眠りについた。



ルウとおじいちゃん

ルウとおじいちゃん

  • 作者: クレール・クレマン
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/08/26
  • メディア: 単行本



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淋しさの持続時間 [bookend]

ずいぶん長い時間、傍らに置いていて本を、どうしてふと読み進めたくなるのか。放置されていた時間が、また接続点を見出したように、いまというときに合流してくるのはなぜだろう。それは、ぼく自身の心的な時間の流れに関係があるのか、たまたまの符合なのか、あるいはなんの意味もないことなのか。

アラン・ライトマンの『アインシュタインの夢』(浅倉久志訳)は、そのように先週のぼくを浸してきた。この本では、30ほどのさまざまな性質と形態の時間のエピソードが、1905年、26歳の特許庁職員であるアインシュタインによって夜ごと夢みられていく。時間のありようによって、世界と事物や人々のありかたも変わる。そのようにパラレルに存在する時間のどこにいるのかが、読んでいくと危うくなる。ぼくがこうして読んでいるこっち側の時間は、はたしてどの時間のなかなのだろう、というように。

しかし、ボストン在住の物理学者の想像力は、これらの世界を描いて実にリリカルで幻想的だ。遠いむかし、時間は天体の運行をもとに測られていた、というくだりで、また、「睡眠のリズム」や「淋しさの持続時間などをもとにして測られていた」と加えて綴るところなど、とてもチャーミングだ。

いずれにしても、べつべつの心象を生きるすべての生命を、ひとつの星に共存して成り立たせるために、いまぼくたちが生きる世界はこの時間という共通の流れを底に抱いているのだろう。

アインシュタインの夢 (ハヤカワepi文庫)

アインシュタインの夢 (ハヤカワepi文庫)

  • 作者: アラン ライトマン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2002/04
  • メディア: 文庫


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